今回は、バーバルメッセージと、ノンバーバルメッセージです。
バーバルとノンバーバル
バーバルとは言語メッセージ、
ノンバーバルとは非言語メッセージのことです。
もっと、一般的な言葉で言うとこうなります。
バーバル | 言葉 |
---|---|
ノンバーバル | 言葉以外のメッセージ(声、表情、姿勢、しぐさ等) |
メラビアンの法則
メラビアンの法則をご存知でしょうか?
アメリカの心理学者アルバート・メラビアン博士は聞き手が話し手から受ける影響の割合について次のように発表しています。(1971年)
言語7%、耳から入る要素38%、目から入る情報55%
※【注意】この法則は、一般に広く知られている反面、誤解されて伝わったとも言われています。実際の数値割合はともかく、言語以外の要素がコミュニケーションに影響を与えていることを説明するために便利であるため、今回使用しています。
私は始めてこの法則を知ったときに、「言葉」が与える影響が、予想以上に少ないことに驚きました。
私たちは、耳から入る要素(声の質・速さ・大きさなど)や、目から入る要素(表情、姿勢、しぐさ、視線など)に、大きく影響されているのです。
例えば、「ありがとう」と、かんたんな言葉を伝えるケースを考えてみましょう。
笑顔で伝える、「ありがとう」。
無表情で伝える、「ありがとう」。
むすっとした表情で伝える、「ありがとう」。
このように、言葉を伝えるときに、私たちはさまざまなノンバーバル・メッセージを伝えることができます。
これは、言葉以外の要素が私たちに影響を与えているからです。
ノンバーバル・メッセージ
それでは、皆さんは普段どのくらい、このノンバーバル・メッセージを意識しているでしょうか?
おそらく、役者や芸能人、政治家など人目を意識する職業でなければノンバーバルを意識する機会はあまり多くはないと思います。
こんな、話があります。
米国大統領選挙の公開討論では、「まばたきが多いほうが、討論後の勝敗の印象を尋ねる世論調査では負ける」という法則があるそうです。まばたきが多いのは、不安や緊張をしている印象を与えるからです。
2004年の第1回公開討論では、ブッシュ大統領はやたらとまばたきが多く、ケリー候補に大きく水をあけられました。第2回目以降はまばたきが減り、大きな差をつけられることがなくなったそうです。
※参考図書 『人は見た目が9割』より
もちろん、まばたきの数が全てではないとは思いますが、影響を与えた要素の1つであったのだと思います。
あなたは、どんなノンバーバル・メッセージを伝えていますか?
今度は、日常的な場面を考えてみましょう。
仕事に集中しているとき、考えごとをしているとき。
自分がどんなノンバーバル・メッセージを発しているかご存知ですか?
ちなみに、以前の私はこんな感じでした。
目を細めてPC画面をじっと見つめ、口角は下がり(つまりヘの字口)、とても話しかけにくい雰囲気を作り出していました。いわゆる、”話しかけないでオーラ”を出していました。
だからでしょうね、よく、人から「怖い」と言われました。
コーチ職についてからは、「これではまずい」と一念発起?!
目を細めないこと、口角を上げることを心がけました。そのためか、それからは「怖い:といわれことが無くなりました。
脅すわけではありませんが、特に、部下をお持ちの上司のみなさま。部下は、上司のそんな姿を本当に良く見ています。自分が思わぬメッセージを伝えてしまってないか、ちょっと気をつけてみてくださいね。(^-^)
それから、ここで1つだけ注意していただきたいことがあります。
これは、言葉がどうでもいい、という意味ではありません。
コミュニケーションをとる際に、言葉は重要な役割を果たしています。
ただ、言葉以外の要素から受け取るメッセージを意識することで、人に与える印象を変えることができるのであれば、それを利用しない手はないですよね。
実践!!
次のことを、実践してみましょう!!
(1) 周囲の人を観察してノンバーバルがどんな印象を与えるか書き出してみましょう。例えば次のような要素に注目してみてください。
- 大きな声/小さな声
- 高い声/低い声
- 早口で喋る/ゆっくり喋る
- 身振り手振りが多い/少ない
- 表情が豊か/無表情
- 姿勢が良い/猫背
- 相手の目をみて話す/見ないで話す
周囲の人のノンバーバルを観察してみた結果はいかがだったでしょうか?
例えば、
- 声が大きな人は積極的、逆に、小さな声は消極的なイメージ
- 早口はせっかちな印象、ゆっくり喋るとは落ち着いた印象
- 表情が豊かな人は親しみやすく、無表情だと近寄りがたい
など、皆さんそれぞれの発見があったのではないかと思います。
普段、自分がどのようなノンバーバル・メッセージを発しているのか、ぜひ、意識してみて下さい。
以前、こんな方にお会いしたことがあります。
その方は、某生保の営業所長をしておられました。
年は30代半ば、中肉中背で大きな目が印象的。優しい表情と落ち着いた声が、初対面にも関わらず安心感を与えてくれます。
ここでは仮にMさんと呼びます。
ところがこの方、若い頃はかなり攻撃的な性格だったのだそうです。
所長になりたての頃、気に入らないことがあると机を蹴ったり、大声で怒鳴ることも多く、所員さん達からも怖がられる存在でした。所長になって3年が経った頃、東北地方に移動が決まりました。
当然、周りは知らない人ばかり。なかなか馴染むことができません。
それでも、3ヶ月、半年…と経過していくと、所員さんの家で食事をご馳走になったり、一緒にスキーに行ったりするようになりました。そして、少しずつ地元の人たちとの親交を深めていきました。
ふと、気づくと、営業所がうまく回り出すようになっていました。
この時にMさんはこう思ったそうです。
「人間関係が上手くいけば、仕事もうまくいく」と。
それから、Mさんは変わりました。
自分から所員さんに話しかける、営業所の蛍光灯が切れれば自分で変える。人間関係を良くすること、所員さんたちが働きやすい環境を作ること、笑顔でいることを心がけました。
それから、数年。
Mさんは、所員さん達から慕われ尊敬される所長となりました。温厚な表情からは、とても以前のMさんを想像することはできません。
「人は変ろうと思えば、墓場に入るまで変ることができると思うんです。」
Mさんのこの言葉は私にとって忘れることができない言葉になりました。
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