あなたは、「ペーシング」という言葉を知っていますか?
ペーシングとは?
かんたんに言うと、「相手のペースに合わせる」ことをペーシングと言います。
たとえば、
- 相手が笑えば、笑い返す
- 相手が腕組みをすれば、自分も腕組みをする
- 喫茶店で相手がコーヒーを頼んだら自分もコーヒーを頼む
「聞くスキル」でご紹介した、オウム返しもペーシングの一つです。
ペーシングを使うメリット
このペーシングを使うことで、どんなメリットがあるのでしょう??
あなたの親しい人のことを、ちょっとだけ思い出してみて下さい。
その人とあなたとの間には、何らかの共通点や、似たところがあるのではないでしょうか?
たとえば、
- ゴルフが好き
- お酒を飲むのが好き
- 食べ物の好き嫌いが似ている
- 卒業した学校が一緒
- 実家が近い
などなど。
そうなのです。
私たちが相手に好意を抱く要因にはいくつかありますが、その中でもっとも影響力が強いものが、『自分と似ていること』、つまり類似性なのです。
「影響量の武器」の中で、こんなことが書かれています。
だから、私たちは人から好意を得るために、自分と相手が似た部分を示すと
いうことを、無意識のうちに行っているのです。
気のあった人たちが一緒にいる光景を観察すると、
まるでリズムにのってダンスを踊っているかのように2人の動作、姿勢、声
言葉などが調和を保った状態になっているのを見ることができます。
気のあった人といるときに、心地良く感じるのはこのためです。
逆にこれが働かないと私達は戸惑いや混乱を感じてしまいます。
ペーシングが、うまくできなかった後輩
以前、会社の後輩で、ペーシングがうまく出来ない女性がいました。
たとえば、数人でランチを食べている時。
突然、これまでの会話と、全く関係ない話を始めてしまうことがありました。正直を言ってしまうと「いま、なぜこの話しをするのだろう?」と、不思議に思っていました。
一生懸命で、とても良い子ではあったのですが、周りとペースが合わせることがうまくできなかったためでしょうか。少し浮いた存在になってしまっていました。
お互いの距離を縮めるペーシング
相手のペースとどれだけ合うかによって、お互いの感情の距離が決まります。また、相手のペースに合わせることによって、感情的の距離を縮めることができます。
ペーシングは、後天的に学習できます。
この学習を、いかに効率的にしてきたかが、社会的コンピテンスのレベルを決定すると、EQで有名なダニエル博士は書いています。(これを共感性と博士は呼んでいます。)
ペーシングの使い方
使いやすいペーシングの例を、いくつかあげてみますので参考にしてみて下さい。
言葉でペーシング
聞くスキルで紹介したオウム返し。これもペーシングです。
A:「先週末に、福岡に行ってきたんだ」
B:「へ~、福岡に行ってきたんだ」
簡単ですね。(^-^)
それから、相手と共通の話題について話すこと、これもペーシングです。
例えば、
相手がゴルフが好きだとすれば、ゴルフの話をする。
相手が宮城県出身であれば、宮城県のことについて話をする。
これは、皆さんも良く使っているのではないでしょうか?
飲み物や食べ物でペーシング
例えば、喫茶店で。
相手が注文したものと同じものを注文する。これもペーシングです。
また、相手がお茶を飲むタイミングで自分もお茶を飲む。
この光景も、実は良くみかける光景です。
その他のペーシング
そのほかにも、
- 仕草、相手が腕を組めば自分も腕組みをする
- 相手がペンをもてば自分もペンを持つ
- 相手が小声ならば小声で、大声なら大声で話す
- 相手がゆっくり話せばゆっくりと、早口ならば早めのスピードで話す
- 相手が笑えば、自分も笑顔で返す
というように、さまざまなペーシングがあります。
あなたも、気の合う相手との間では、無意識のうちにペーシングをしているはずです。
あなたの周りに、誰からも好かれる、という人はいませんか?
きっとそういう人々は、このペーシングを無意識に活用しているのだと思います。
それと同じように、ペーシングを意識的に使うことで、私たちも戦略的に信頼関係を築きやすくすることができるようになります。
こんなに簡単で使えるスキル、使わないともったいないですよね。
実践!!
次のことを実践してみましょう!!
(1) 先ず、あなたが話しやすいと感じる人をみつけます。
そして、その人がどんなペーシングをしているのか観察してみましょう。
例)声のトーン、大きさ、話すスピード
表情、しぐさ(手の動きなど)、姿勢、食べ物の注文、オウム返し etc…
観察してみると、いろいろなものが見えて来るのではないかと思います。
ぜひ、あなたなりの、使えるペーシングスキルをみつけてください!
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